ランニングを始めた頃、雑誌ランナーズで大会広告で見かけました。



 野辺山を制した者はウルトラを制す。



ここ数年、もっとドSの大会もいくらか増えたようですが、
今でもその地位を失っていないようです。

何でもやりたがりの自分は何度か出場を考えましたが、
結局はビビって数年間、出場を見送っていました。


ところが一転、昨年の11月、大会に迷わずエントリーをしました。


妻のお腹が大きくなり、安定期に入り、順調に大きくなり、
12月に女の子が産まれると知った頃でした。
無事に誕生したら、まだ見ぬムスメは5ヵ月になっているはず。


ムスメの生誕を祝い、健やかに育つ事を願うため、
自分らしく、野辺山に行っちゃおうか!と決断したわけです。


ムスメにしたら意味不明でしょうが、とにかく走りたくなった。
毎年だと冬にフルマラソンの本命レースを設けるけど、今年はこれ1本と決めました。
ちゃんとトレーニングしたら、屈指の難コースも克服できるだろう、と。


そして、昨日、念願がかないました。
朝5時にスタートし、午後5時40分、全て出し切って無事にゴールしました。

不安で始まり、苦痛に顔を歪め、笑顔でフィニッシュしたオヤジの休日を紹介します。


◆スタート前

暗闇のなか、ホテルから10分ほど歩いてAM4時に会場到着。
既に異様な活気に包まれていました。

コース上42kmと87kmに預ける荷物を最終点検したり、キャリーバッグを預けたり。
不安で落ち着かないので、トイレの列に並んで過ごしました。

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◆スタート

15分前に整列。
空が明るくなってきた。天気は良さそう。
覚悟はしていたはずなのに、リタイアのことを想像してしまうほど不安でした。

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◆スタート~10km

しばらくは平坦なロードが続きます。
2000人のウルトラランナーが、誰もいない公道を埋め尽くし、少しずつ縦に伸びていく。
(注:42kmの部、71kmの部、100kmの部が同時スタート)

牧場の敷地を越えたところで、不整地ロードに入った。

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単なる不整地じゃない。
大小さまざまな石がゴロゴロしていてすごく走りにくい。

10km地点、まだまだ準備体操。
ちなみに、ゼッケン下の紙はムスメの足型スタンプです。

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◆~20km

不整地は続く。ほとんどが上り。
まだまだぴんぴんしていたけど、急な上りは無理せず早歩き。
コース最高標高1,908mを目指す。

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前方でランナーが人垣を作っていた。
あ、そういうことでしたか。

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その直後、20kmのチェックポイントに到着。
辛そうなランナーもいたけど、まだ早いでしょ?
まだまだ余裕。

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◆~30km

実はこの不整地、下りも結構神経を使います。
足元を見ていないと、石に乗り上げたり、凹凸で躓きそうになる。
何人か思いっきり転倒するランナーもいました。

ようやく舗装道路に入りました。しかも、下り。

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あまりに気持ちが良くて、始めは飛ばしてしまいましたが、すぐに自制。
先はまだまだ長い。

再び、不整地に入ったところで、30km通過。まだまだ笑顔です。

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◆~40km

とても良い天気で、気温が上がってきた。
けど、林間を吹き抜ける風は、ことのほか気持ちがよく。
空を見上げて、どこまでも走れそうな気分になりました。

35km稲子湯エイド。ここではおしるこをいただきました。

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林道から出て、車線が広い道路を気持ち良く下って、40km到着。
まだまだ、元気だけど、少しだけ疲労。もしかすると空腹かも。

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◆~50km

暑くなってきた。
42km着替ポイントの荷物にTシャツを入れておいて救われました。

42km八峰の湯エイドにて着替
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一応、12時間を目標にしていたのですが、予想通過時刻より20分ほど遅れていた。
不整地の上りで少しノンビリし過ぎたようです。

下りは少しだけペースアップを意識して走りました。

日差しが強くて、暑くなってきた。
エイドには大きな柄杓と、たっぷりの清水が準備してあって。
さすが、有名大会です。エイドのサポートもさすが、充実しています。

50km小海公民館エイド ちょっとバテていました。

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◆~60km

この辺から、少しきつくなってきた。
気温が高く、エネルギーも不足気味。
目の前のランナーがフラフラ歩きながら、胃を押さえ、嘔吐していたりして・・


しかし、こんな人もいるのです(100kmの部)。
ぷーさん。
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本人に聞いてみると、野辺山は2度目とか。
これを脱いでもタイムは変わらないと思いますよ、と。
普通の格好では走る気も起きないようです。おそるべし。


ランナーはきつくなると、距離を意識してしまうもの。
59kmの北相木村役場エイドまでは、5kmぐらい往復するコース。
つまり、先行するランナーとすれ違うわけです。
やはり、先を行くランナーは走り方がまったく違う。
とても60kmを過ぎているとは思えないほど、軽やかに通り過ぎて行きました。

ようやく59kmエイド到着。

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おにぎりを食い散らかし、味噌汁をガブガブ飲んで出発。



◆~70km

平凡だけど、少しづつ上っていきます。
周りを走るランナーもまばらになってきました。何となく同じメンバー。
きつい上りは早歩き、傾斜が落ち着く直前に再びラン。

そうこうしていたら、異質なモノが見えた。

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何か変。

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出ました、サラリーマンランナー。
これまでも色々な大会で見かけましたが、まさかウルトラにも・・

上りだったので、しばらく会話していきました。
彼の場合も、マラソンは全てこの格好で走るとか。もはや性癖。

当然、サラリーマンとして通勤・勤務服なのかと思いきや。


 いや、仕事に行くときは短パン・Tシャツです。


あまりの珍回答に、前を走るランナーも振り返って微笑むほどでした。

上りの途中に70kmチェックポイント。

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笑っていますが、結構きつくなっていました。


◆~80km

野辺山には二つの難所があると言われています。

一つは、約20kmほどの不整地。確かに大変だった。
けど、オレもまだ若かった。


二つ目は、79kmの馬越峠。
峠だから、車が登れるほどの上りなのだろうけど、80km走ってきた後だから。
少しづつ近づいている。

71km部門のフィニッシュ地点を過ぎる。
みな、両手を上げて、仲間と喜んで。
100kmの部ランナーは、馬越峠に向かう。

73kmエイドを過ぎると、えげつない勾配の道路に入る。
みな一斉に歩き出す。

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とにかく、急な勾配。足柄峠の後半、蕎麦やを過ぎた後の勾配と同じぐらい。
元気だったら、何とか上っているだろうけど、80km過ぎているから無理も利かない。

歩くと長い。次のエイド76km地点まで3km、約30分かかった。
エイドで食べたぶどう、おいしかったー、忘れない味。

その後、さらに3km。みなでトボトボ歩いた。そして、ようやく!

79km馬越峠エイド
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天国に見えました。
固形物は食べられないので、オレンジを大人食いして糖分補給。

目の前には急勾配の下り坂。
肩甲骨周りと股関節をしっかり動かしてから、ランスタート。
残り20kmだし、せっかくだから思いっきり飛ばして下り始めました。
まだまだ着地筋が元気でした。

80km地点。気持ち良くなってきた。

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◆~90km

85kmぐらいまでは、ほぼ下りが続きます。
5kmラップを27分ほどで気持ち良く下ってきた。
平地になり、少し重さを感じたけど、ゆっくりならまだまだ走れる感じ。

87km川上村原公民館エイド、着替えポイント。
荷物には、ムスメの特選写真を仕込んでおきました。
うどん食べて、ムスメの写真に癒されて出発。

最後のチェックポイント90km地点。
胸にはムスメの写真(入浴時の写真)を貼っています。

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◆90~95km

前日の選手説明会でも、ホテルの食堂でも聞いていました。

 90km過ぎの上りも結構辛いよ。

そんなに急じゃないのです。
しかし、90km走ってきた脚には効きました。
雨も強くなってきて、少し壮絶な感じになってきた。

3年前は90kmエイド以降、平地も下りも走れなくなった。
とにかく、腹筋周りが痛くて、脚が動かなかった(実は腸腰筋の痛みだった)。
今回はは50km超を2回、ジョギングでもアップダウンをを多く走ってきた。

身体は応えてくれました。

長い直線の先に、95kmの表示発見。いよいよ、クライマックスです。
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◆95km~フィニッシュ

雨の中、淡々と前進。
歩いても完走は確実だけど、全力で前進。

ゴールまで4km

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フィニッシュ地点の近くを通るので、音楽とかMCの声が聞こえてくる。


3km

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2km

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沿道の声援が「おかえり」に変わる。ウルトラならでは。

1km

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鳥肌がたち、辛いことが喜びに変化してきます。

防寒用ウインドブレーカを脱ぎ、ムスメの写真と一緒にラストスパート。
いまごろ妻の背中で泣いているのかなあ、と想像して。


17時40分ごろ、感動のゴール。

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100kmのダメージは相当なもんです。

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ムスメよ、おかげで数年来の夢が正夢になりました。
オヤジに負けぬよう、健康に育ってね。
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